2024年発刊 No.54 みんなのたより

 ~2024年 新年の挨拶~ 理事長 田中喜代子

新年あけましておめでとうございます。

 皆様におかれましては、ますますのご清祥のこととお慶び申し上げます。

 1日に発生した能登半島地震では、多くの尊い人命が失われましたことに哀悼の意を表しますと共に、被災されました皆様には心からお見舞い申し上げます。

 コロナウイルス感染症が5類感染症に移行して、迎えた今年のお正月は、ご家族との交流が弾まれたことと思います。

穏やかな日常の暮らしは、平和であってこそ守れるものであると実感いたします。

 国内外の情勢は、さらに厳しさが増す経済環境となっています。

 長引くウクライナ戦争の終結に向けて世界が心を一つにし、すみやかに経済の安定を図ることが求められています。

 国内では、医療保険、介護保険、障がい福祉サービスの報酬が同時改定の年となっており社会保障審議会で、介護に携わる職員の処遇改善への提案や、新サービスの創設、介護保険料の負担増等、多岐にわたる内容が審議されています。

一方、物価高騰という厳しい状況がいまだ続いており、安定した事業持続が求められている今、誠心誠意をもって“真心接遇”を心がけ、地域の皆様から高評価をいただくことが最も大切なことだと思います。

ヘルプ協会は、法人理念 “協同と信頼を基盤に、人間の尊厳と人権をまもる”に常に立ち返り、地域にお住いの方々、ご家族の皆様、そして200余名の職員の皆さんと一緒に考え工夫しながら、一歩ずつ前進してまいりたいと願っております。

先輩諸氏の思いに真摯に耳を傾け、気軽に“ちょっとした相談”もお寄せくだされば幸いです。“ここで余生を過ごせて良かった。”というご利用者の方々の喜びを、私達の喜びとして、更に職員一同精進してまいります。

 今後とも、皆様のご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。 

緑丘・瑞穂地域包括センター

 住みよい街づくりへの働きかけは介護の専門職だけだけではなく、地域住人・自治会役員・民生児童委員等々との連携の下、実現されています。

 今回はその地域住人として地域活動に取り組まれている皆さまをご紹介します。

 わたしの母親が2002年8月5日の夜中1時半ごろに脳梗塞で倒れ、救急車で伊丹病院へ運ばれました。救急車の中・待合室・そして治療が済み昏睡した母親を病室で一晩見守りました。その時母親の復活を願い、リハビリを行うことを昏睡状態から覚めた母親と相談して決めました。

 その後、母の頑張りで手押し車を押して歩行できるまでになりましたが、2008年1月末帰らぬ人となりました。

 家内の献身的な看病の様子を見ながら、2人で母を見送れたことに感謝しています。

 また後日、家内の母も引き取り同様の見送りが出来たことにも感謝しています。

 福祉活動は2003年に広畑の高齢者のお困りごとの対応を目的とした「いきいき広畑」の立ち上げのメンバーに参加し、2008年の解散まで病院への送りを主として活動をしてきましたが役員の高齢化により解散となりました。

 しかしこの活動を機により高齢者の困りごとを考え、2012年当時4名のメンバーと共にボランティアグループ「広畑なでしこ」を立ち上げ70歳以上で独居・日中独居及び高齢夫婦等を対象として「出前喫茶」を展開し、高齢者

に寄り添った活動を行い、相互理解が得られたように思います。

 また2013年5月、瑞穂地区社協において福祉会の立ち上げ・2018年広畑いきいき百歳体操を立ち上げ、どちらも継続中です。令和に入り、広畑地区では40歳前後の親世代が増えたことで2021年ボランティアグループ「あおぞら」を立ち上げ、児童公園整備と警備を行い子ども達の安全と安心を提供しています。

また自治会の仕事として2年前からイルミネーションの点灯を始めています。

 人・物・事に寄り添い、その中から信頼関係や安心感が生まれてくると感じています。地域での日々の活動を通じて感じる充実感が生活を豊かにしてくれていると感じています。

       瑞穂小学校区 梅田 幹夫

大鹿地域では地域コミュニティーづくりの一環として、子ども食堂(みどりっこ食堂「大鹿」)やシニア向けの食事会(ナイス待夢)等様々な取り組みが行われています。

民生委員の皆さんに、百歳体操の取り組みについてお話を伺いました。

『大鹿いきいき百歳体操』は、食事提供をしていた『ふれあい喫茶』が、コロナ禍で実施し難くなったことを契機に、皆で楽しく体操できる場に変えようと、令和3年10月にスタートしました。

『何歳になっても正しい筋トレをすれば筋肉は大きくなる』は、いきいき百歳体操のモットーですが、大鹿の方々はそれだけではなく、①飽きないように工夫(年に何回かイベント的な要素を入れる)②参加者同士の交流(名札を付ける・体操後に場所を提供する・今後はゲーム等を検討)等に努力してこられました。

そのような取り組みによって、以前よりも、道で出会った時にはお互いに名前を呼び合って挨拶することが増え、体操に来られた時には「お元気でしたか」「(筋トレ)すごいですね」等 笑顔でおしゃべりしています。

民生委員の皆さんは「苦労もあるけど、参加者の皆さんの笑顔が、民生委員や協力員の喜びになっている」とそれぞれにおっしゃられ、インタビューしている側も、その言葉に胸が熱くなりました。

『トライアル・ウイークの体験を通じて』

 毎年11月~12月にかけて市内の中学校からトライアルウィーク体験に生徒がやってきます。社会体験学習という一環で行われているトライアルです。

 ヘルプ協会では、ぐろ~りあデイサービスとぶる~むデイサービスで受け入れています。

このトライアルウイークが始まるまでに生徒から来所訪問の連絡をいただけます。

電話口のむこう授業で習った電話対応を緊張しながらたどたどしく話す生徒の声や事前訪問面談で、自己紹介を一生懸命に行い、紙面に書かれた内容を1つ1つ丁寧に確認している姿にかわいさと愛しさを感じました。

 

いざ、1週間のデイサービスでの体験が始まりました。初日緊張した面持ちで利用者様と接し、利用者様からは「どこから来ましたか?」「年齢は?」「兄弟はいるの?」と質問攻め、生活機能訓練の一環で取り組んでいる洗濯物干しを一緒に行ったり、レクリエーションで折り紙を一緒にすることやゲームに一緒に楽しむこと、将棋の相手をする等繰り返し関わる中で中学生も高齢者に対する接し方を学んでいきました。

 体験が始まった当初は、スタッフが1つ1つ声掛けをして動いていましたが、1週間後には、1日の流れを理解して自から動けるようになっていました。

 この体験を終えて、中学生からのお礼の手紙を頂きました。

「高齢者の方の出来る事がたくさんあって驚いた。」「高齢者の方にたくさんお話してもらい、自分も優しくなった。」「高齢者の方に丁寧に接することを学んだ。」「高齢者の方の笑顔が好きになった。」「車いすを押すことが難しかったが、よい機会になり自信になった。」「介護の仕事の楽しさを知った。」などお礼のお手紙を通してたくさんの感想を頂きました。

 核家族化が進む中で昔のように3世代同居や隣近所のつきあいなどが希薄になっています。学校での勉強とは違い、社会体験を通じて、子どもたちが、家族以外の人たちと接する機会を多く持ち、成長していく中で人を思いやる気持ちや目上の方を敬う大切さ、チームワークの絆などの学びにつながってほしいと願っています。

 福祉の仕事は大変、難しいと思いがちですが、地域とのつながりの中でのこのような体験を通じて介護は楽しい!介護は、嬉しいことがある!介護は喜びがある!など「未来につなぐプロジェクト」になれればと思います。

~インフルエンザに要注意!!~

 今年の冬は、インフルエンザが大流行しています。高熱や関節の痛みなどを伴い、人によっては重症化するおそれもあります。流行を防ぐためには、原因となるウイルスを体内に侵入させないことや周囲にうつさないようにすることが重要です。インフルエンザの感染を広げないために、一人ひとりが 「かからない」「うつさない」対策を実践しましょう!

【予防方法】

①手洗い・うがいは基本です。

 出先から帰宅時や調理の前後、 食事前などこまめに手を洗いましょう。

②ワクチン接種をしましょう。

    ワクチン接種をすることで感染しても軽くで済みます。

③適度な湿度が必要です。

 空気が乾燥すると、のどの粘膜の防御機能が低下します。(50%から60%)を保つことも効果的です。

④人込みは避けましょう。

 インフルエンザが流行してきたら、不要不急のときはなるべく、人混みや繁華街への外出を控えましょう。

ぐろ~りあ 居宅介護支援事業所

 ケアマネジャーは利用者様のお宅を定期訪問し、体調にお変わりはないか、ケアプランが問題なく実行できているかを確認しています。

 この定期訪問を重ねていくと、利用者様には色々な「楽しみ」があることに気づきます。今回はお二人の利用者様の「楽しみ」をご紹介したいと思います。

まず、男性利用者A様です。A様は3年前に脳梗塞で入院しました。長い入院生活で体力が低下し、脳梗塞の後遺症で右手に若干麻痺が残ったため、退院後、自宅でリハビリを開始されました。リハビリの一環として毎日簡単な日記を書き、スマホの万歩計を使って一日5ooo歩を目標に散歩に出かけるようになりました。定期訪問で、日記帳と万歩計を一緒に確認しています。83歳のA様ですが、スマホの操作は手慣れたもので、孫様とLINEでやり取りしておられます。LINEでひ孫様の写真が届くとケアマネジャーにも見せてくださいます。現在ひ孫様は8人!ひ孫様の成長が楽しみとのことです。

 また、A様は草花に詳しく、川辺を散歩すると「〇〇が咲いていたよ。」と必ずケアマネジャーに教えて下さいます。長年大工として働き、「手先を動かすことは苦にならないから。」と言われ住宅の花壇の手入れを続けておられます。ご自宅を訪問すると、真っ先にその花壇が目に入り、四季折々の花で癒されます。花の苗はお一人でホームセンターまで歩いて行き選んでいるそうです。これからも一人で買い物に行けるように、と熱心にリハビリに取り組んでおられます。次はどんな花壇になるのか、ケアマネジャーも楽しみにしています。

 次の利用者様は93歳の男性B様です。

B様はお風呂が嫌いで数年前まで月に1、2回しか入浴されませんでした。B様も5年ほど前に脳梗塞で入院。退院後、脳梗塞の再発やふらつきによる転倒が予想され、訪問看護師による体調管理と入浴のお手伝いが開始されました。最初は嫌がっておられましたが、「看護師さんが来たらお風呂に入ることにします」と週2回入浴できるようになりました。

そんなB様が、今度はコロナ感染で入院となり、退院後はさらに歩行時のふらつきが目立つようになりました。また、お一人暮らしのB様は家事が苦手で食事がおろそかになります。やはりデイサービスを利用したほうがよい、と長女様はじめ訪問看護師、理学療法士も一緒にお勧めしましたが、B様は「私はそういうのが苦手です。」と断固拒否。

 しかし、近所のコンビニに行くのも休憩が必要な状態で、お風呂もデイで入浴したほうが安全です。何とか説得してデイサービスを体験利用いただきました。体験利用後、B様「やることがいっぱいあっていいと思います」と利用開始を快諾下さいました。

 今では週1回新聞を持ってデイサービスに通っておられます。足浴と広々とした湯舟がお気に入りで、先日ケアマネジャーに「毎回デイサービスに行くのが楽しみです。食わず嫌いでしたね」と笑ってお話くださいました。

 デイサービスの利用追加を提案したところ、

「自宅のお風呂も好きなので、これまで通り看護師さんにお手伝いしてもらいながら週1回は自宅でも入浴を続けます。」とのことでした。

90歳を超えて思いがけず巡り合った「楽しみ」をこれからも元気に続けていただきたいと思います。

 ちなみに、当居宅介護支援事業所のケアマネジャーたちの「楽しみ」というと「孫活」でしょうか。この数年で「孫が」で始まる会話が増えました。保育園の行事や一緒にお出かけの話などを聞いていると、気持ちが和やかになります。「楽しみ」を皆で共有することも「楽しみ」になりますね。

介護保険の利用者様は、病気やケガでそれまでの生活と異なる状況で生活せざるを得ない方ばかりです。身体的にも精神的にも様々な困難を抱えておられます。しかし、少しでも

「楽しい」時間を過ごすことができれば、困難を軽くするきっかけになるのではないか、私たちケアマネジャーはそんな思いを抱いています。介護保険サービスで、利用者様の「楽しみ」を見つけるお手伝いができればと思います。

ぐろ~りあ東野 サービス付き高齢者向け住宅

「いつでも一人になれるし、いつでも誰かにあえる暮らし」

~日々の楽しみを見つけて~

 

在宅で過ごすように自由に、でも在宅より安全に暮らせるのがサービス付高齢者向け住宅です。ここで暮らす方々は日々の時間の使い方も、各々自由。皆様の普段の楽しみをお聞きしてみました。

【入居者の楽しみ=頭の体操 オセロゲーム】

Y様は入居されて5年。普段から、近隣の入居者様ともコミュニケーションを広くとっておられますが、買い物や通院等の合間に日課となっているのがオセロゲームです。

 Y様曰く“オセロ・将棋・囲碁”は認知症にいいと聞いています。頭を使う事につながると思っています。」とのこと。日課にしっかり組み込んで楽しんでおられます。

 Y様と一緒にゲームを楽しんでおられる方は、昨年入居されたT様です。健脚のT様は、毎日の散歩が日課です。散歩で外の空気にふれ、オセロゲームで頭の体操をし、生活リズムを整えておられます。こちらでの生活をお聞きすると、「毎日たのしくて、幸せです。オセロを今までしたことがなかったけれど、教えて貰って始めました。集中力が養えると思っています。」と顔をほころばせながら話してくださいました。

 普段は、お二人の名人対決ですが、時折、女性陣も加わり熱い戦いを繰り広げておられます。

オセロの輪がもっと広がるといいですね。

【スタッフの楽しみ=自画自賛!寄せ植え】

サ高住の玄関前には花壇と寄せ植えが飾られていて、季節ごとにお花を植え替えて入居者や来訪者を出迎えられるように整備しています。

時々忙しくて手入れを疎かにし、雑草畑になってしまうこともありますが(笑)きれいにお花が咲いた時、皆さんに喜んでいただけるのはスタッフの楽しみでもあります。

これまでは、季節のお花を寄せ植えにして玄関前を彩っていましたが、昨年から気分を変えて、今流行りの“多肉植物”を寄せ植えしてみました。

見様見真似ですがとても可愛く仕上がったと自画自賛しており、更に調子に乗って葉挿しで仲間を沢山増やすことを計画中です。

多肉植物の中に今年の干支『辰』が隠れています。

探してみてください。

未来。過去。現在の楽しみ デイホームタカさん家

デイホームタカさん家では“楽しみにしていること”又は“あの時は楽しかったなぁ”と思う事はありますか?と何名かにインタビューさせて頂きましたところ、その中にご家族様とのエピソードが多くありましたので、その中からS様のお話しをご紹介させていただきます。

 『未来の楽しみ』

 思春期のお孫様がおられるS様、お孫様にボーイフレンドができたことをニコニコ顔で教えてくださり、お孫様が眉毛をきれいに整えられたり、オシャレに興味を持たれる様子を見るのが楽しみとのことです。

 「うちの孫は中一か中二だけど。おませなの」と、今後が楽しみと話されています。

『過去の楽しみ』

 私の初恋は16歳頃だったわ。とS様。当時は喫茶店も遊ぶところもなくて・・・と思い出されながら、楽しみは二人で川沿いを通って遠回りをしながら帰るのがデートであり楽しみだったとのこと。

『現在の楽しみ』

 16歳だったS様。あれから何十年か時がたち、現在の楽しみは、タカさん家の窓から見える風景の中でビワの成長を観察しながら、今年はビワが何個収穫できたのだろう・・・と月日を振り返ったり、その日その日の雲の形を見て、何の形に似ているか想像しながらコーヒータイムを楽しみされているとのことでした。

平和を語ろう

 1月に入ると毎年思い出すことがあります。27年前に起った「阪神・淡路大震災」です。

 1月17日午前5時46分、直下型の大きな揺れと共に大地震が起こりました。大震災が起った当時は、阪神高速の倒壊、波打つ道路、私たちが良く知っている阪急伊丹駅も崩落してしまいました。死者数は、6433人、戦後最大の被害でした。

 神戸東灘地区に震災ボランティアにいきました。東灘地区の震災影響は大きく、建物の倒壊や道路の亀裂、1月の寒さをドラム缶に火を起こして暖を取る姿、赤ちゃんのミルクがなくて「ミルクがほしいです」「オムツがほしいです」と訴えられたお母さんの姿、トイレを探すと小学校のグランドに一列に穴を掘って作った集合トイレでした。そんな光景が今でも心の中に残っています。

 この1月1日にも能登半島で大きな地震が発生しました。新しい年を迎え、家族でほっとしているさなかに起りました。年明け早々に大きな災害にあい困難なな生活をされています。たくさんの方がお亡くなりになり、今もなお、行方不明の方がおられます。心よりご冥福をお祈りいたします。

 復興と共に記憶から消えていく日々ですが、もう一度、安全・安心の暮らしの為に日頃から出来る備えや日々の生活の「幸せ」について考えていくべきと思います。「幸せ」=「平和な日常」を作っていくために今の生活が当たり前ではなく、過去の出来事を忘れずに・・・今この時間、この環境で安全なくらしが出来ていることに感謝し、出来る事からコツコツを心掛けで取り組んでいきたいと思います。

       法人本部 施設長   竹下 千晴

ヘルプ協会の元旦メニュー

ぐろ~りあ東野元旦
特養元旦料理

編集後記

新年あけましておめでとうございます。

 今年は辰年です。辰は、「ふるう・ととのう」を意味し希望や理想にむかって一歩一歩進むことを表しています。ヘルプ協会の利用者様、家族様、スタッフが良い方向に進んでいける年になればと思います。 

 今回のみんなのたよりは、楽しみをテーマに利用者様と向き合いながら事業を展開している内容を中心に作成いたしました。読みづらい部分もあると思いますが。ご一読のほどよろしくお願い申し上げます

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